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2023年 05月 10日
■「ときには積ん読の日々」 / 吉上恭太 ---------------------------------------------------------------------- 第166回 LGBTQ+の権利を自分の問題にするために 日本では、同性の結婚はまだ認められず、性的少数者に対する差別を禁止す る法律もいっこうに成立する気配がない。性的少数者理解増進法案さえも自民 党保守派の根強い抵抗が続いているという。 LGBTQ+であることで差別を受けて自ら死に追い込まれるケースだってある し、人間として当然の権利を持つことが出来ないことに憤りを覚える。 ただそんなことをいっている自分だってLGBTQ+について知識があるとはま ったくいえないなあと、ずっと気になっていた本を読んだ。けっこう厚みのあ る本だったため、ずっと積ん読になっていた。 その本が『愛と差別と友情とLGBTQ+』(北丸雄二 著 人々舎)だ。読み ながら自分がLGBTQ+について、あまりにも知らないことが多すぎる!ことを 実感した。1ページ読むたびに「ああ、そうなんだ」とつぶやくほど。そして 自分の中にまだ同性愛を恐れる気持ち、偏見がどこかにあるのではないか、 かつて不用意な発言でだれかを傷つけていたのではないか、と自分自身に問い かけていろいろなシーンを思い出していた。 まず最初にLGBTQ+という言葉を調べた。東京レインボープライドのサイト に解説が出ていた。 LGBTQ+とは、Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同 性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トラン スジェンダー、性自認が出生時に割り当てられた性別とは異なる人)、Queer やQuestioning(クイアやクエスチョニング)の頭文字をとった言葉で、性的 マイノリティ(性的少数者)を表す総称。Qを表す「クイア」は、もともと 「不思議な」「風変わりな」「奇妙な」などを表す言葉で、同性愛者への侮蔑 語だったが、現代では、規範的な性のあり方以外を包括する言葉としても使わ れている。「クエスチョニング」は、自らの性のあり方について、特定の枠に 属さない人、わからない人等を表す言葉。「+」は、セクシュアルマイノリティ が広がるにつれて分類できない性別を表している。 実をいうと、このような基本的なことも知らなかった。 『愛と差別と友情とLGBTQ+』は、ジャーナリストとして25年間のアメリカで 活動してきた北丸雄二さんが肌で感じたLGBTQ+の歴史、現在を伝えている。 北丸雄二さんは毎日新聞をスタートに、東京新聞(中日新聞社)社会部を経て 1993年よりニューヨーク支局長を勤めて、96年夏に退社して独立後、ニューヨ ーク在住のまま執筆活動を続け、現在は帰国してジャーナリスト、コラムニス トとして活動している。 けっして知識だけを伝えて啓蒙する本ではない。ゲイである北丸さん自身の 経験をもとにした当事者としての熱い思いが伝わってくる。 北丸さんがこの本を書こうと思ったのは、杉田水脈の生産性発言に対して LGBTQ+を擁護する立場から「とにかく今はもうそういう時代じゃないんだか ら」というテレビのコメンテーターの言葉を聞いたときに感じた違和感からだ ったという。本当に「もうそういう時代」じゃないの? 「そういう時代」は もう、片づけられたの? という疑問からだった。 北丸さんはぼくよりちょっとだけ年上で、同世代といっていいだろう。だか ら北丸さんが書いている、初めて見たレッドツェッペリンのボーカリスト、ロ バート・プラントの容貌の美しさに感動した記憶は、ぼくにも同じような感覚 があったことを覚えている。ぼくの感動は多分セクシャルなものではなかった と思うけれど、「美しい!」と感じたことはよく覚えている。 ビートルズやレッド・ツェッペリンなどから、話は本題に移っていって2018 年に公開された映画『ボヘミアン・ラプソディ』のクィーンがこの本の導入部 になっている。 NHKのニュースでこの作品を「英国のロックグループ『クィーン』が世界的 なバンドになるまでを描いた作品」と紹介した。この映画の本題であるメイン・ ヴォーカルのフレディ・マーキュリーがゲイであり、HIVに感染したことには 触れていなかった。この作品が高い評価を受けたのは、当時「死病」とされて いたエイズに感染したフレディをバンド・メンバーたちが支えた友情が描かれ ていたからだったのは言うまでもない。 北丸さんによると、ゲイとかエイズの話を面倒くさいと感じるのは日本社会 だけではなく、欧米でも五十歩百歩だそうだ。ゲイやエイズを世間は「面倒く さい」とするだろうという推定反応のため、マーケティングのリスクとして映 画などの宣伝では避けられていたという。日本では映画だけでなく翻訳本の著 者紹介に「ゲイ」であることを隠すように出版社からいわれた話もあるという。 それが日本の現状なのだ。いまだに「そういう時代」だ。 まえがきの部分だけでも、なるほど、となんどもうなずきながら読み進める。 本の前半はアメリカにおけるLGBTQ+の歴史だ。 北丸さんの文章は「語る」という言葉がぴたりとくるような気がする。読者に やさしく語りかけるような文章だ。400ページ以上もある本なのだが、読みづ らいと思ったことがいちどもなかった。ただ、1ページの中に「これは大事な ポイント」と思うことがたくさんあって付箋を貼っていくと結局全ページに貼 ることになるのでやめてしまった。やさしい言葉で語ってはいるけれど内容は 重たいし、きちんと理解するには何度も読み直さなければいけないみたいだ。 アメリカと日本を行き来する北丸さんだから、LGBTQ+についてアメリカと日 本の向き合い方の違いがわかったのだろう。85年にアメリカの恋人とさえ呼ば れたロック・ハドソンがエイズで死んだことで、「ゲイのこと」「エイズのこ と」を多くのアメリカ人が初めて他人事から「自分に関係すること」にしたの だという。北丸さんは、LGBTQ+の権利をめぐる戦いの歴史を黒人解放運動や女 権運動などと例を挙げながら語る。 そして日本の閉じた文化についても語る。「日本で流通している日本語だけ の情報で満ち足りて、そこから出ることも、その外に世界が存在することも考 えていない。日本の世間は日本語によって護られているつもりで、その実、そ の日本語によって世界から見事に疎外されている」と。 北丸さんが書いたコラムを読んだことがある。そこで北丸さんはLGBTQ+の訳 語が「性的少数者」となっていることについて書いている。「性的」と付いて いることで「性行為」と安易に結び付けられてしまう。本来なら「性別」「ジ ェンダー」「恋愛」などを含む人間の生き方にとって大切な言葉なのに、 「セックス=性交」という意味に引っ張られてしまう。性的少数者と聞くと 「一般的ではないセックスをしている人たち」と受け取られる。新聞のコラム にはたしか「セックスモンスター」「変態」ととらえられてしまうとも書いて いた。もちろんLGBTQ+と愛と性は切り離すことはできない。それは異性愛者 も同じはずだ。 ブロードウェイのミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』、 戯曲『ノーマル・ハート』など多くのミュージカルや戯曲上演台本翻訳を手が けている北丸さんは、ニューヨーク在住中にエイズによって打撃を受けるブロ ードウェイを目の当たりにしている。そして、性的少数者たちの命がけの言葉 の戦いを見てきた。 日本で北丸さんが台本を手がけた『アルターボーイズ』の上演があったとき、 ひとりの俳優がゲイの役について嫌悪感をもらしたことがあった。北丸さんは その役者に手紙を書く。その手紙の中でマット・デイモンやパトリック ・スチュワートのゲイに対する姿勢を伝えた。その手紙を受け取った翌日から、 その俳優の演技がまるで別人のように感動的に変わったというエピソードだっ た。北丸さんはいう。日本語の思考回路に、ほんのちょっと別のところへと通 じる回路を添えてやれば、彼らだっていろんなところに行けるのだと。 この本をたくさんの人が読むことで新しい思考回路が生まれて、LGBTQ+へ の偏見がなくなっていくことを心から思う。 ◎吉上恭太 文筆業。エッセイ集『ときには積ん読の日々』はトマソン社では品切れ中。 kyotayoshigami@gmail.comにお問い合わせください。 翻訳絵本『あめのひ』『かぜのひ』は徳間書店から、 『ようこそ! ここはみんなのがっこうだよ』はすずき出版から出ています。 セカンドアルバム「ある日の続き」、こちらで試聴出来ます。 https://soundcloud.com/kyotayoshigami2017 タワーレコード、アマゾンでも入手出来ると思いますが、 古書ほうろう(https://koshohoro.stores.jp/)、 珈琲マインド(https://coffeemind.base.shop/)で通販しています。 よろしくお願いします!
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by kyotakyotak
| 2023-05-10 12:27
| 本
2023年 05月 08日
[本]のメルマガ vol.858が配信されました。『ときには積ん読の日々』、今回は が『愛と差別と友情とLGBTQ+』(北丸雄二 著 人々舎)のことを書きました。honmaga.netにアクセスしてBACKNUMBERSをクリックすると読めます。 #
by kyotakyotak
| 2023-05-08 09:00
| 本
2023年 03月 24日
[本]のメルマガ vol.855が配信されました。『ときには積ん読の日々』、今回は 『「くうき」が僕らを呑みこむ前に』(山田健太 著 たまむらさちこ 絵 理論社)のことを書きました。honmaga.netにアクセスしてBACKNUMBERSをクリックすると読めます。 #
by kyotakyotak
| 2023-03-24 14:49
| 本
2023年 02月 27日
[本]のメルマガ vol.852が配信されました。『ときには積ん読の日々』、今回は 『本の幽霊』(西崎 憲 著 ナナロク社)のことを書きました。honmaga.netにアクセスしてBACKNUMBERSをクリックすると読めます。 #
by kyotakyotak
| 2023-02-27 17:54
| 本
2023年 01月 25日
[本]のメルマガ vol.849が配信されました。『ときには積ん読の日々』、今回は 『ポエトリー・ドッグス』(斉藤倫 著 講談社)のことを書きました。honmaga.netにアクセスしてBACKNUMBERSをクリックすると読めます。 #
by kyotakyotak
| 2023-01-25 15:11
| 本
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