11月4日、朝から歯医者。かんたんに終わるかと思ったら、意外と重症だったらしい。麻酔を打って治療を開始するが、クィーンと痛みが走る。麻酔が効かない。残っていた麻酔も打ったが、ぜんぜんだめ。痛みをこらえながら、治療を続行。まるで映画マラソンマンの拷問シーンのようだ(ちょっとおおげさか?)。痛みをこらえるために体が硬直してガチガチになったしまった。治療から解放されたのは、2時間後だった。
フラフラになりながら、新宿御苑前のシリウスに向かう。
大西みつぐさんの写真展の最終日だったのだ。
「WONDERLAND 町へ」というタイトルがついていた。デジタルカメラで下町の風景を撮影したカラー作品が並ぶ。いつもより色が鮮やかな気がする。浅草、神田、向島の風景は、ぼくも知っている場所もあるはずだが、まったく知らない町のように見える。たぶん、アラーキーが撮れば、また違う風景が見えるのだろう。これは、大西みつぐの風景なのだ、と実感した。
「WONDERLAND」という写真集に使われたモノクロ作品がたくさん見ることができたのもうれしかった。面白かったのは、モノクロ写真を見ていると、大西みつぐさんの息づかいのようなものが感じられた。よく「写真は、写真家の視線」といわれるが、それだけでなく、大西みつぐさんが歩く歩調や、立ち止まり、カメラをかまえて、少し息をつめてシャッターを押すという作業が見えてくるような気がしたのだ。
カラー写真よりもモノクロ写真を見たときに、それを特に感じたのはなぜなんだろう?