3月26日、下北沢ラカーニャにハンバートハンバート、ふちがみちとみなとのライブを聴きに行く。いつのまにか、ラカーニャの中が模様替え。ステージの場所も奥から階段下に移動していた。ステージのバックには、沢田としきさんの壁画のように大きな絵があった。この絵をバックに演奏するなんて、気持ちいいだろうな。50人定員ということだったお客さんの年齢層は、意外にもけっこう高め。よかった、若い人ばかりだと初老(?)夫婦は浮いちゃうもんね。図々しくも一番前の席に陣取る。
オープニングアクトは、名古屋から来た「あいまいなあたしのあい」という女の子二人組。ウクレレとピアニカを使ったシンプルな編成。いま流行の“脱力系”かなっと思ったら、なかなかしっかりした演奏だった。とくに、声が澄んでいて気持ちよかった。若い人が日々感じている素直な気持ちを歌詞にしていて、おじさんには新鮮。いのうえまいさんの澄んだ声がとてもよい。これから二人とも教職に就くらしいけれど、音楽は続けて欲しいです。
ハンバートハンバートは、ライブを聴くのは3度目か4度目。回を重ねるごとに安定した演奏をするようになった。きっとたくさんのライブをこなしているから自信がついたのかな。でも、へんなプロ意識を持っていないところがいい。あいかわらず佐野遊穂さんの声はすばらしい。天使の声だね、ほんと。オリジナルもカバー曲も、シンプルでフォークやトラッドの伝統をふまえているところに、おやじのファンが多い要因なんだろうな。だっていまどき「天使のハンマー」なんてやる人、ほかにいる?
そして、ふちがみとふなと! CDでは知っていたけれど、ライブは初めて。ベースと女性ボーカルだけのバンド。どんなステージなんだろうと思っていたけれど、ふちがみさんの声を聴いたとたん、のめりこみました。なんなんだろう、決して美声ではないし、声量があるわけではない。でも、ちょっとハスキーでやわらかい音質の声には、奥行きがあって、歌がときにぐいぐいと、ときにすーっとこちらの気持ちに入ってくる。ちょっとシュールな詩の世界も相まって、ふちがみふなとワールドに引き込まれてしまう。ハンバートハンバートもカバーしていた「歌う人」では、涙腺がゆるんでしまった。それからトム・ウェイツの「マーサ」。すごい! どんなジャズシンガーが歌っても、こんな歌にはならないだろうな。ああ、また聴きたい!
というわけで翌日、渋谷のHMVに駆け込んで一番新しいアルバム「ヒーのワルツ」を買ってきた。もう何回も繰り返し聴いている。「歌う人」も入っている。また、泣きそうになった。