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2015年 01月 01日
2014年の暮れ、大瀧詠一の一周忌だったからか、豪華なボックスセットが発売されたためか、NHKのラジオやBSで「はっぴいえんど」の特集があって、あらためて大瀧詠一、細野晴臣、鈴木茂、松本隆の4人がいかに日本の音楽に影響を与えたのか、再認識することになった。
といっても、「ゆでめん」も「風街ろまん」も発売当時はセールス的にはさほど売れていたわけではない。たとえば学校でロック好きの友人に「はっぴいえんど」の話をしても、知っているやつなんてひとりもいなかった。 ぼくが初めて、はっぴいえんどのライブを見たのは、1970年4月24日、渋谷公会堂での「岡林信康・キューバ・サトウキビ刈り壮行会」というコンサートだった。岡林信康のファンだった叔母につれていってもらった。ぼくは13歳の中学生だった。 もともと叔母の影響で岡林信康が好きで、「くそくらえ節」や「山谷ブルース」をギターでぽろぽろと弾いていた。そのころ、関西フォークというか、生ギターを弾きながらプロテストソングを歌う岡林がかっこよく思えて夢中になっていた。 渋谷公会堂でのコンサートは、いわゆるフォークのイメージをがらりと変えた内容だった。この日、岡林はロックバンドをバックに従えて、ロックを歌ったのだった。「ラブゼネレーション」「堕天使ロック」とか早川義夫がリーダーだったジャックスのナンバーが中心だった。そうそう、吉田日出子といっしょに「NHKのうた」も歌った。これは早川義夫のソロアルバムにも入っている。 ボブ・ディランがエレキギターを手にしたとき、ファンから裏切り者呼ばわりをされたが、この日、岡林がそのようなヤジを飛ばされた記憶はないなあ。あの日はどうだったんだろう? 岡林の「見るまえに跳べ」というロックアルバムは、このコンサートのあとにリリースされているので、ぼくはこの日、初めて岡林のロックを聴いたのだと思う。 ロックも好きだった中学生のぼくは、エレキサウンドをバックにシャウトする岡林のことがますます好きになった。 そのときのバックバンドが、はっぴいえんどだった。多分「春よ来い」「かくれんぼ」の2曲を演奏したのだと思う。ファーストアルバム「ゆでめん」はリリースされていなかったので、はっぴいえんどの音を聴くのも初めてだった。 初めて聴くはっぴいえんどの演奏は、大瀧詠一の声が「なんだかお経を唱えているみたい」に思えたのが感想で、ロックバンドを生で聴くのは初めての中学生には、バンドの演奏技術などまったくわからなかった。でも、なんというか、しっくり来る音だった。 いまでも鮮明に思い出すのは、大瀧詠一のリズムギターがかっこよかったこと。とくにラブゼネレーションのときのカッティング。それからリッケンバッカーのギターについていたシールドがカールコードだったことだ。中学生って、おかしなことに感動するもんですね。 このコンサートに行ってから、岡林を聴くというよりも、バックのはっぴいえんどの演奏のほうが気になるようになっていた。 ファーストアルバム「はっぴいえんど」(通称ゆでめん)が出たのは、1970年8月だったが、多分、リリースしてすぐに買った。その日、両親が友人と近所の居酒屋で飲んでいて、だいぶご機嫌になったときを見計らって、小遣いをせがんで3軒となりのレコード屋に行ったのだ。 ゆでめんを初めて聴いたときも、あのコンサートの印象と変わらず、お経のようなボーカル、地味な曲、だけどなんだか体にしっくり来るサウンドだった。レコードでは、鈴木茂のファズの効いたギターソロが好きだった。 この頃は、はっぴいえんどが影響を受けていた、バッファロースプリングフィールドもモビーグレイプも知らなかったし、世界でもっとも不思議な音を出すバンドだと思っていた。 「風街ろまん」がリリースされたのは、1971年11月。というから、ぼくは中学3年生だった。覚えているのは、そのころ注目されていたアメリカのマデュラというバンドのレコードを買いに居酒屋のそばにあるレコード屋に行ったとき、この指名手配のような顔がならんだジャケットを見つけた。はっぴいえんどだ! で、やはりこちらの方を買ってしまった。だからマデュラがどんな音を出すバンドなんだか、未だに知らない。気になってきた。今度、中古レコード屋で探してみよう。 「風街ろまん」に針を落とした瞬間に、きっと音楽人生が変わってしまったにちがいない。ビートルズを初めて聴いたときも衝撃だったけれど、それとはちょっと違って、なんというか、じわーっとくるような感動だった。日本で作られたレコードとは思えないほどサウンドがカラッとしていて、日本のロックにありがちな暗さ、じめじめ感がまったくなかった。 そういえば、名曲「風をあつめて」のギターをどうやって弾いているのか、まったくわからなくて、最近になってカバーをしているけれど、成功率は60%です。 「ゆでめん」「風街ろまん」のCD、レコードをセットしたボックス、リマスターをロンドンでしたということで、またサウンドが変わっています。すごくめりはりが良くなっている。もっといいオーディオで聴きたいなあ。そういう危険な音であります。
by kyotakyotak
| 2015-01-01 22:48
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