勝手に自分の「聴覚」に多大に影響を与えたレコードのアルバムカバーを投稿。 20枚目はGround-Zeroの『革命京劇』1995年リリース。Ground-Zeroは大友良英のユニットで内橋和久(ギター)、Sachiko.M(サンプラー)、ナスノミツル(ベース)、植村昌弘(ドラムス)、芳垣安洋(ドラムス)が参加している。
大友さんのライブを初めて見たのは、ずいぶん前のこと、多分1990年だったと思う。新宿のピットインだった。NO PROBLEMというユニットで広瀬淳二(サックス 自作楽器)、LIM SOOWOONG(ジャンク)のトリオ編成だった。
じつはこの日まで、大友良英のことはまったく知らなかった。その日、ぼくのお目当てははジョン・ゾーンだった。ところが、ジョン・ゾーンはダブルブッキングをしたとのことでピットインのファーストステージには現れなかった。
大友良英が「ジョン・ゾーンを聴きにきた方は、チケット代を返しますよ」とアナウンスすると、LIM SOOWOONGが石油缶のようなもので作ったドラムセットを叩きながら、「ノー・プロブレム!」と叫んで演奏が始まった。
凄かった! 初めての音楽、というか体験だった。大友良英がターンテーブルにレコードを次々と載せて、サウンドコラージュを作り出す。クラシック音楽、演説、街頭の雑音などノイズが大音量で溢れ出す。そこに、LIM SOOWOONGの打撃音、広瀬淳二のサックスがからんでくる。ぼくは、一時間ほどのステージを口をあんぐりあけたまま聴いた。
セカンドステージにはジョン・ゾーンも加わったのだが、NO PROBLEMだけのほうが緊張感があってよかったことを覚えている。
このときの興奮が忘れられず、若い友人に熱く語ったのだろう。まだ大学生だった彼は、大友良英のライブに行き、同じように夢中になった。そして、縁があって大友良英の運転手兼ローディになってしまった。
ギターを売り飛ばしてターンテーブルを買い込んだ彼は、ぼくといっしょにデュオ、そしてのちに「カルトジャンクカフェ」というバンドを作ることになった。
こうやって、ぼくは、いままでまったく知らなかったノイズの世界にどっぷりつかることになった。
『革命京劇』は最近、フランスでアナログ盤復刻されたものです。