

勝手に自分の「聴覚」に多大に影響を与えたレコードのアルバムカバーを投稿。
24枚目は鮎川誠の『クール・ソロ』1981年リリース。
かっこいい! ジャケット、見ているだけで気分が上がる! ロックだね。ああ、ぼくもあと20センチ、いやせめて10センチ身長が高ければ、ロックやっていたな。レスポールを腰のあたりに構えて、シンプルなコードをガツガツと弾く。コード進行だの、リハーモニーゼーションなんかしゃらくせいやい!
このレコードがでたころ、うちにポーランドの青年が遊びに来たことがある。トメックくんは、ぼくがワルシャワを訪ねたとき、街中のレコード屋、楽器屋を案内してくれた。まだ戒厳令が解けたばかりで、もちろんベルリンの壁が崩れる前の話だ。レコード店では、レコードはカウンターの向こうの壁に展示してあって、欲しいレコードがあれば、店員に申し出てとってもらう。もちろん、西のロックのレコードは売っていなかった。ぼくはトメックくんが推薦するレコードを10枚ほど買った。日本円にすると、たぶん2000円程度だったか。でも、ポーランドの学生にとってはかなり高額だったんでは、と帰国してから気づいた。
ぼくの部屋で、日本のロックを聴いてもらおうと数枚のレコードをかけた。はっぴいえんどやはちみつぱいをかけたのかな。
「日本には、ロックのバンドはありませんね。ぼく、いろいろ聞いたけれど、ちがうと思います」
トメックくんは、日本人にロックが出来ないことはしかたがないことだという。
「だって、日本の若者には切羽詰まった気持ちがないでしょ。恵まれすぎた環境にいては、ロックは出来ません」。
なるほどな。ぼくは反論しなかった。そして手に入れたばかりの「クール・ソロ」をターンテーブルにのせた。
トメックくんの表情が変わった。
「あ、これ、これはロックですね!」
でしょ、ロックだよ、これは!
いつだったか、下北沢の洋食屋スコットに行ったことがある。この店も閉店しまっている。美味しかったのにな。
友人の待つ席に向かうと、隣の席にいる男の人と目が合った。見覚えのある顔だったので、会釈すると彼も会釈を返した。
あとで気づいた。鮎川誠じゃないか! 知り合いじゃないし。でも、あの会釈とちょっと微笑んだ顔がかっこよかった。得した気分だった。
https://youtu.be/nN3yx1SsfAk