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2025年 01月 21日
成人の日にこの原稿を書いている。その昔、二十歳だったひねくれ者のぼくは、晴れがましい気持ちになんてなれず、もちろん成人式など出席するはずもなく、晴れ着姿の女の子を横目に見て「ケッ」とポケットに手をつっこんで石ころを蹴飛ばしていた。 でも老人になった今、若い人たちの未来に幸あれ、と心の底から思うようになった。これからの日々が若者たちにとって、少しでもいい世の中になりますように、と願っている。 今年、最初の読書に『未来散歩練習』(パク・ソルメ 著 斉藤真理子 訳 白水社)を手に取った。「未来」という言葉に惹かれたのかもしれない。 積ん読本の中の一冊だったのだけど、なんでこの本を買ったんだっけ。まずタイトルが面白かったからだ。「未来散歩」まではなんとなくイメージができるけれど、「練習」ってなんだろう? 白水社の紹介で著者パク・ソルメは「社会問題に独創的な想像力で対峙する、韓国で最も注目される新鋭作家である」とあった。 なんの前知識も読み始めたけれど、正直にいうと、最初は文章のスタイルに戸惑ってしまった。読むのをやめようかと思った。主人公の心の動きをそのまま書き起こしたような文章。出会った人物、食べ物、建物あらゆるものについて「わたし」の思ったことが書かれているみたいだ。 「読みにくいなあ」と思っていたのだけれど、文章のリズムがとてもいいのでだんだん読み進めるのが快感になってくる。まるでこの小説の語り手である「私」の思考に入り込んだような気分だ。電車の中で読んでいて、危なく乗り過ごすところだった。 舞台は釜山。「私」は、ソウルで働いているが、釜山に部屋を借りている。「私」は釜山で出会ったチェ・ミョンファンという60代の女性とさまざまな場所を歩き、さまざまなものを食べたり飲んだりする。小説は、私、チェ・ミョンファン、スミ、スミの幼馴染ジョンソン、スミの叔母であるチョ・ユンミという5人の女性それぞれの人生を描いた群像劇だ。そして物語に通底しているのは光州事件、そしてその後に釜山で起きたアメリカ文化院放火事件だった。 アメリカ文化院放火事件のことは、この本を読むまでまったく知らなかった。 1982年、光州事件を武力弾圧した全斗煥政権の打倒と、同政権を支援するアメリカを追い出すための反米闘争を呼びかけるビラ数百枚が撒かれ、アメリカ文化院が放火された事件だ。 小説ではスミの叔母、チョ・ユンミは犯人のひとりとして逮捕されている。 そして「私」と釜山で知り合ったチェ・ミョンファンは、事件の当日、アメリカ文化院のそばにいた。それぞれの人たちがアメリカ文化院の事件と関わっている。 「私」は、アメリカ文化院放火事件に関わる人々は「来たるべき未来を練習した人」として記録したいと考えている。 タイトルのように「私」はよく歩く。「私」の散歩は、けっこう早足なのかもしれないなあ、なんて考えながら読んだ。いっしょに歩いて、同じ景色を見て、同じ風に吹かれているようだ。行ったことのない釜山の街に親しみを覚えるようになった。そして「私」はよく食べる。食堂「石器時代」の五香醤肉、食べてみたいなあ。それからコーヒーとドーナツがたびたび出てくるけれど、なんか美味しそうなんだようなあ。 読んでいるうちに、タイトルの「練習」という意味もわかってくる。 「私」がボブ・ディランの評伝を読んで思ったことが書いてある。 「現在と未来について考える人たち 来たるべきものについて絶えず考え、現在にあってそれを飽きずに探し求める人々は、すでに未来を生きていると思った」 韓国の人たちにとって光州事件がいかに重たく心の中に存在しているのか、改めて思った。映画でも小説でも何度も取り上げられて、過去も現在もつぎつぎと制作されている。 ぼくにとって日本での民主運動といえば、60年代、70年代の学生運動になるのだろうが、はたしてどれだけの存在なのだろうか。 70年代の学生運動は、ぼくは中学生で学生たちのデモやバリケードはよく覚えている。 でもぼくは傍観者でしかなかった。 学生運動のシンパだった叔母に連れられてアジトに差し入れに行ったこともある。中学生を連れていればカモフラージュになるという理由だった。新宿のはずれだったのかなあ、場所もどんなアパートだったかもよく覚えていないな。もちろん自分が民主主義のために戦っている自覚なんてなかった。 大阪に祖父を訪ねたとき、実直な祖父は、「くれぐれも学生運動などしないように、世間様に迷惑をかけるようなことをしないように」といっていた。高校に入学したときのお祝いの言葉の代わりだった。 そういえば高校受験のときの面接では、学生運動と警官隊を出動させた政府、どちらが悪いと思うか、と面接官に問われた。返答にこまったぼくは「どちらも悪い」と答えた。帰ってからそのことを話すと親や叔母にあきれられた。 「なんて優柔不断な答えをしているのだ!」と叱られた。 高校の授業中、生物の先生がとつぜん、「きみたちね」と話し始めた。連合赤軍リンチ殺人事件で甥っ子を失ったことを話した。でも先生は、けっして学生運動に参加するなといったとは覚えていない。ただ甥っ子の死を語ったときの遠くを見るような目は忘れられない。 こんなふうに中学生、そして高校生になってからもぼくは学生たちの運動の中にいたはずだ。三里塚闘争もまだ続いていたはずだ。 もっと自分のこととして考えたり、行動したりすることも出来たはずだ、と今では思う。民主主義のことを真剣に考えたこともなかったのではないかと思う。 ああ、ぼくは「未来のための練習」をまったくしてこなかったのだ。 未来のための練習をしてきた人たちがあってこそ、「現在」があり、ぼくたちは未来のための練習を続けなくてはならない。 著者パク・ソルメは最初の章「遠いところの友たちへ」でこう書いている。 「来てほしい未来を思い描き、手を触れるためには、どんな時間を反復すべきなのか」 歩きながら、考えること。それが未来のためにぼくができる「練習」なのだろう。 東京のPLAY! MUSEUMにて、「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」が2025年1月22日から4月6日まで開催されます。 堀内誠一は、母の妹の夫、つまり義理の叔父です。思えば16年前、このメルマガの連載第1回に堀内誠一の展覧会の紹介でした。今回の展示では、堀内が手掛けた雑誌『anan』に焦点を当てる「FASHION」展、堀内が残した絵本の世界観を楽しむ「FANTASY」展、堀内を敬愛する100人が各々の好きな作品を紹介する「FUTURE」展の“3つの堀内誠一展”が同時に開催されて、堀内誠一の多岐にわたる制作活動を振り返る展覧会となっています。 「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」 2025年1月22日(水)ー 4月6日(日) 会場:プレイ ミュージアム 住所:東京都立川市緑町3-1 グリーンスプリングス(GREEN SPRINGS) W3棟 2F 開館時間:10:00~17:00 ※土日祝は18:00まで。入場は閉館の30分前まで。 入場料 :一般 1,800円、大学生 1,200円、高校生 1,000円、中・小学生 600円 [立川割]一般 1,200円、大学生 700円、高校生 600円、中・小学生 400円 ※未就学児無料。 https://play2020.jp/
by kyotakyotak
| 2025-01-21 12:01
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