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2016年 02月 02日
エッセイ集『ときには積ん読の日々』のたくさんの感想をいただいた。その中でとても嬉しかったことのひとつに、フィービ・スノウというシンガーのことを知ってもらったり、思い出してもらえたことだ。
本では黒田恭一のエッセーのことを書いたのだが、フィービ・スノウのというシンガー&ソングライターは、ぼくもそうなんだけど、1970年ぐらいに音楽を聴き始めた人にとって特別な人だった。 ぼくが彼女のことを知ったのは、高校生の頃だから、もう40年以上も前になる。うわー、そんな昔のことなんだ! どうやって彼女の歌を聴いたんだろう。『ポエトリーマン』という曲がアメリカでヒットして、日本のラジオでも流れたことがあったから、それで知ったのかもしれない。ウィキによると、アメリカでは100万枚以上売れたという。へー、こんな地味なレコードがねえ。いい時代だったんだ。 日本盤はサンフランシスコベイ・ブルースだったかな。レコードの帯には“ブルースの妖精“というキャッチコピーがついていた。どこでレコードを買ったのかは忘れてしまった。スモーキーな歌声、フレーズの最後に独特なビブラートをきかせる唱法、最初はずいぶん変わった歌い方をするんだなあ、と思った。きっとビリー・ホリデイの影響だと思うけれど、そのときはわからなかった。 ギターもうまい。ぼくは歌よりもギターが好きになった。カントリーブルースの奏法とジャズのコードがうまくマッチしている。コード進行もかっこいい。先日『ハーポのブルース』のコード進行をコピーしたら、メジャーとマイナーを行ったり来たりしていて、びっくりした。いやー、かっこいい! タイトル曲の『サンフランシスコベイ・ブルース』は有名なフォークブルース。日本では武蔵野たんぽぽ団がやっていますね。そんなフォークソングをフィービはジャズっぽくアレンジして原曲とはまったく違う曲にしている。ああ、こんな風に演奏出来たらどんなにいいんだろう! フィービはギタリストとしてもっと注目されてもよかったんじゃないか。あまりに歌がうますぎたからかな。ぼくはゴスペルのように歌い上げるフィービよりも、ささやくように歌うほうが好き。ギターの弾き語りがいちばんだな。もちろんその後のアルバムでもギターを弾いているけれど、彼女のギターと声だけのアルバムも作って欲しかった。 このアルバムでは、テディ・ウィルソンのピアノ、ズート・シムズのサックスとかジャズの大御所プレーヤーがサポートしているのもすごい! ずいぶん渋い人選だよねえ。でもこの二人のさりげないソロが実にいい。大人の音。フィービはこのとき、まだ23、4歳だったんじゃないか。でも、ちっとも負けていない。フィービの音になっている。 ロックからはデイブ・メイスン、デビッド・ブロムバーグがギターでサポート。で、ぼくが気に入ったのはスティーブ・バーグというセッション・ギタリスト。デビッド・ブロムバーグのバンドに参加している人です。テレキャスターっぽい歯切れのいい音のバッキング、まさにいぶし銀のプレーだ。当時、フィービのライブがテレビで放映されたことがあった。ミッドナイト・スペシャルという番組。でも、ぼくは旅行中で見られず、友人にバックのギタリストがかっこよかったと聞いた。テレキャスターとギブソンのフルアコを持ち替えて弾いたという。きっとスティーブ・バーグだろう。当時はビデオもないし、その後、再放送されることもなかったが、もしかしたらYouTubeにあがっている、これかもしれない(https://m.youtube.com/watch?v=WVIRqiKGSzg)。テレキャスターはうしろに置いてある。フルアコには、ぼくの好きなデアルモンドのギターマイクがついている!(ちょっとマニアックな話ですね)。 ぼくは、このファーストがいちばん好きだけれど、2枚目以降もいいアルバムを作っている。4枚目の『Never Letting Go』も名作です。 お子さんが障害を持っていて、看病のため、音楽活動を控えていた時期もあった。彼女自身も重い病気を患っていたという。残念だけながら、フィービは2010年に脳出血のため、亡くなっている。 ![]() ▲
by kyotakyotak
| 2016-02-02 01:13
| 近況報告
2016年 01月 31日
もう1週間も前になりますが、1月23日(土)は喫茶おとらでの「ときには積ん読の日々」発売記念ライブでした。幸い、雪はふらなかったけれど、寒い中、たくさんの方に来ていただいて、ありがとうございます。
エッセイ集『ときには積ん読の日々』に出てくる音楽のことを話したり、演奏したのですが、あいかわらずしどろもどろのトークでした。 ビートルズを初めて聴いたときのこと、60年代後半のフォークブームやグループサウンズのこと、そして伊勢昌之のこと……。専門家でもないぼくの個人的な思い出を話しただけなので、面白かったかどうか、いまさらながら不安になってきたな。初めて自分でギターを弾いてビートルズやフォークを歌った、あのころの喜びに満ちた日々のこと、うまく伝わったかどうか……。 ビートルズの「She Loves You」をボサノバアレンジで。アレンジしたところで満足してしまって、ちゃんと弾けなかった(汗)。反省してます。 ![]() アイドルの一人、高田渡は菅原克己の詩にメロディーをつけた「ブラザー軒」を歌ったけれど、ぼくは「涙」にシャンソンのようなメロディーをつけました。人前で歌うのは、2度目かもしれない。 今度のライブには、挿絵を描いてくれた、あまのさくやさんと装丁をしてくれた、千葉泉さんに来てもらいました。 さくやさんのボーカルで、フィービ・スノウの「ハーポのブルース」。この歌は、さくやさんのやわらかい声がぴったりでした。声だけじゃなくて、歌としてとてもよかったなあ、と思います。また歌ってほしい。レパートリーにしてくれないかな。 千葉泉さんのギターは、本当にすごい! 今回はポール・サイモンのレパートリーであるデイビー・グレアムの「アンジー」を弾いてもらったけれど、テクニックだけじゃなくて、なんといっても歌心があると思う。いっしょに弾いていても、泉さんのギターが話しかけてくるような気持ちになる。こういうことってあまりないものなあ。 ぼくのリクエストで「何かがうまく(Something So Right)も歌ってもらった。マイクを使わなかったので、細かいニュアンスが伝わったかどうかわからないけれど、すごくよかった! 弾き語りのライブはやっていないらしいけれど、また聴きたい! 続けてジェームス・テイラーの「ファイアー・アンド・レイン」「きみの友だち」を3人でやったけれど、短いリハーサルだったわりにはうまくいったかなあ。ぼくはジェームス・テイラーは好きだけれど、ギターをコピーしてはいなかったので、今回、ちゃんと聴き直したり、ライブの動画を見たけれど、ジェームスのギターって、やっぱりすごいですね。アイデアが面白いし、とにかく巧い。いまさらですが。 最後にぼくの曲「ごはんの湯気で泣くかもしれない」を3人で。女性のコーラスが入ると華やかになっていいですね。 機会があったら、さくやさん、泉さんといっしょにまたライブをしたいと思ってます。 みなさん、ありがとうございます! ![]() ▲
by kyotakyotak
| 2016-01-31 17:28
| 近況報告
2016年 01月 03日
新年ももう3日目が終わろうとしています。明日から仕事という人も多いでしょう。正月気分は今日までですかね。
大晦日の日に、とも吉がぎっくり腰で寝込んでしまい、とも吉の代わりにお墓参りに出かけたくらいで、しずかなお正月でした。 暮れにライブが続いたせいか、疲れ気味です。 ライブの締めくくりがOasisのカバーでよかったんだろうか(笑)? ゆっくり音楽を聴く気分にもならずに、だらだらとサッカーやら箱根駅伝をテレビ観戦しながら、だらだらと過ごしてしまいました。 正月の間に聴こうと思っていて山積みのCDやレコードに手が伸びず、ギターにもさわらないまま。こんなことも珍しい。このまま音楽が出来なくなるのでは、なんて思ってしまいます。だいたい歌もギターもうまくないのに、人前に出て演奏をするというのは、けっこうストレスです。もちろん楽しいことは楽しいのですが。 こんなふうに落ち込んだときは、大好きなサンドウィッチマンやナイツの漫才を聞いても、気が晴れないもんですね。なにをやっても気分が明るくならない。 で、結局、音楽を聴くことにした。ほかにやることが思いつかない。情けないなあ。でも、最近のものはどうも聴く気にはならない。 そこで暮れに古書ほうろうで入手したオーディオブックがあるのを思い出した。中村とうようがコンピレーションした『大衆音楽の真実』全3巻。レコードは持っていたけれど、これはCDエディション版で新しい曲も追加されている。 昨年、武蔵野美術大学での「中村とうようコレクション展」に行って、膨大なレコードコレクションの一部を見たり、蓄音機を使ったレコードコンサートを聴いたけれど、このオーディオブックを聴いていると、とうようさんのすごさがわかる。自分の好きなものをとことん集めるというのは、表現なんだな、と思う。オーディオブックに収録されているのは、アメリカ、ハワイ、カリブ海、メキシコ、ブラジル、インドネシア、アフリカ、エジプト…と世界中のポップス、大衆に愛された音楽だ。アカデミックに集められているというわけではなくて、中村とうようが好きな音楽が並んでいるようだ。研究とかお勉強という感じがしない。もちろんきちんとした解説もついている。でも、選曲にしても曲の並びにしても、聴く人を楽しませようと考えられている。 だから、とうようさんがターンテーブルにレコードを載せながら、「これ、いいんだから、聴いてよ」という感じで聴くことが出来る。もっとも、とうようさんがそばにいたら、こわくてレコードなんか落ち着いて聴けないかもしれないよなあ。 1巻目の1曲目はアメリカのフレッド・ヴァン・エプスという人のラグタイム・バンジョー。2曲目がハワイのスティールギターと続く。5曲目には、日本の豊年斎梅坊主の出鱈目。阿呆陀羅経という大道芸。そして6曲目はアメリカのラップの元祖といえそうなジャック・スニードのナンバーズマン。国も楽器も曲も違うのだけれど、ちっとも違和感がなく聴くことが出来る。ちっとも古い音楽と感じない。 まるで細野さんのエキゾチック音楽を聴いている気分。ヴァン・ダイク・パークスの音楽にも通じる。こんなこと、音楽好きの人ならわかっていることだろうけど。 暮れにレコード大賞や紅白歌合戦を見たけれど、日本のポップスはますます画一化が進んでいるような気がする。昔はもっとバラエティに富んでいたのになあ。ムード歌謡、民謡、演歌、グループサウンズとごちゃまぜだった。ラジオからは、同じ番組で歌謡曲と洋楽ポップスを流していた。子どものころはビートルズだって、アニマルズだって、映画音楽だって、ふつうのラジオ番組で聴いていたんだ。 ![]() いま、ちょうどガーナのE.Tメンサー楽団の「アサバ」という曲を聴いているところ。ガーナを中心としたポップスで「ハイライフ」というらしい。1953年ころの録音だという。ジャズっぽい洒落た音楽で聴いているとウキウキしてくる。 世界には、素敵な音楽がたくさんあるんだな、と改めて思う。気分がよくなって、へたくそなギターを弾いてみようかな、と少し気持ちが晴れてきた。どんなクスリより、いい音楽が効くみたいだ。 ▲
by kyotakyotak
| 2016-01-03 23:58
| 近況報告
2015年 12月 31日
2015年大晦日ですね。今年も「サウダージな夜」にたくさんの方に来ていただきました。ありがとうございます。
今年からゲストを迎えて、トークをまじえて演奏するスタイルにしました。ライブなどで、よく顔を合わせているのだけど、じつはいろいろと知らないことばかりだったりするので、トークのときに根掘り葉掘り聞くことが出来て楽しかったです。インタビューというより尋問かも(笑)。 今年のラインアップを振り返ると、 2月 くりすあすかさん。 あすかさんの歌は、やわらかく力強い。大森元気さんも飛び入りしてくれました。 4月 谷口雄さん。 ゆるさのころから、お世話になっています。「森は生きている」は解散してしまったけれどセッションプレーヤーとして大活躍していますね。ぼくのセカンドアルバムのプロデューサーをやってくれています。 6月 北村宥志さん。 ゆるさのギタリスト。ライブではエレクトリックギターを弾くことが多いのですが、北村さんはアコースティックギターの名手です。フィンガーピッキングを駆使したカントリーブルースをもっと弾いてもらいたい、と思って招きました。ジョン・フェイヒィみたいでしょ。ナショナルのリゾネーターを弾いてくれました。 8月 長坂雅司さん。棚木竜介さん 長坂さんと棚木さんとは、「ある日~」というユニットをやっています。ふだんソロでやっているので、バンドでの演奏はとても新鮮で楽しいです。年に何回も出来ないけれど、オリジナル曲も増やしたいですね。とにかく二人は、ぼくの一押しシンガー&ソングライターです。ぜひぜひ、ライブに行ってください。アルバムを聴いてください。 10月 北山昌樹さん。 北山さんは、roppenを始めナガサカマサシ&夢見る港のドラマーとして活躍していますが、自他共に認める素晴らしいシンガーです。リハーサルでワンフレーズ歌うだけで、場の空気が変わってしまうほどの声の持ち主。ファンも多くて、この日はお客さんがいっぱいでした。もうすぐ出来るソロアルバムも楽しみです。 12月 あまのさくやさん。くりすあすかさん。 昨年に続いて、さくやさん、あすかさんに来ていただきました。あまのさくやさんはサウダージではおなじみですね。ぼくも今年、いちばん共演が多かったかも。さくやさんとあすかさんは、シンガー&ソングライターのkyoさんといっしょにユニットを組んでいます。kyoさんはロンドンに行っているということで、代わりにキョー爺が参加しました。女性ボーカルと共演は楽しいですね。同じ曲でもゴージャスになります。キャンディーズの曲がくせになりそう。 というわけで、今年の「サウダージな夜」も楽しく終えることが出来ました。来て頂いた方々、共演してくれたミュージシャンの方々、そして古書ほうろうの健太郎さん、ミカコさんのおかげです。 来年も「サウダージな夜」をよろしくお願いします。 ※みなさんから頂いた投げ銭ですが、古書ほうろうにあるピアノの調律・メインテナンス代として寄付させて頂きました。ありがとうございます。 ▲
by kyotakyotak
| 2015-12-31 11:58
| 近況報告
2015年 12月 01日
今日から12月、師走ですね。今年もあと1か月、気があせるような、気忙しなくなってきます。街にはクリスマスツリーが飾られて、商店街にはクリスマスソングが流れて、いやでも“年末感”がせまってくる。今年、やり残したことは、いっぱいある、というか、22日の「サウダージなクリスマス」の準備もあるし、26日の「Play For Fukushima 2015」では普段やらないカバーもやるし。
12月になると思い出すのは、12月8日のことだ。ジョン・レノンの命日。亡くなったのは1980年だから、もう35年も前のことになる。 ぼくは、野球の週刊誌の編集部に勤めていた。まだ23歳のひよっこ編集者だった。毎日、神保町にあった古いビルの4階で原稿と格闘していたけれど、仕事にも慣れてきて楽しくなってきていた。先輩とも軽口をたたくようになっていた。 寒かったな、あの部屋。暖房はどうしていたんだろう? エアコンなんてなかった。小さなガスストーブがあったのは覚えているけれど。 先輩のEさんは一年を通して、白いボタンダウンのシャツを着ていて、冬はグレーのベストを重ねるだけだった。冬になると、「さむー」といいながら肩をすぼめていた。寒いなら思う少し暖かい服を着ればいいのに、といわれても頑固に自分のスタイルを通した。ああ、黒いとっくりセーターは着ていたかな。 あの日、ぼくは原稿を取りに行って編集部に戻ったのは、暗くなってからだった。編集部のドアを開けると、なんだか空気が重苦しかった。ツィッターなどなかった時代、外出していると、ラジオでも聴いていなければ、ジョン・レノンが殺されたニュースなど知ることは出来なかった。 「ジョン・レノンが死んだの」と教えてくれたのは、Gさんという女性の編集者だった。そのとき詳しい状況を聞いたかどうかは、よく覚えていない。ただ「ジョンが死んだ」という事実だけが重たくのしかかった。 いまから思うと、編集部の人たちがそんなにジョン・レノンに思い入れがあったとは知らなかった。編集部でビートルズの話もしなかったし、音楽が話題になることはほとんどなかった。でも、みんな、それぞれにジョンに思いを寄せながら、おしだまるようにして、静かに仕事をしていた。 いや、それはあとづけのイメージかもしれないな。いつもの通り仕事をしていて、テレビがつけっぱなしになっていて、入稿作業もあるから、それなりにざわついていたはずだから。でも、あの日のことを思い出すと、みょうに静まりかえっていた編集部の様子が浮かんでくる。 夜遅く、自分の部屋に帰ってラジオをつけた。FENでは、ずっとジョンの曲を流していた。あのとき、ぼくはジョンのレコードを持っていたんだろうか? 初めてのソロ・アルバム『ジョンの魂』は持っていたのかな? 小学生の終わりごろからビートルズに夢中だった。ビートルズの解散の噂が流れたり、ジョンとポールの不仲のことが耳に入ってくるのがとてもつらかった。ぼくは、ジョン、ポール、ジョージ、リンゴがそろっているビートルズが好きだった。よくジョン派とかポール派とかいうけれど、ぼくはどちらでもなく、ビートルズ派だった。だから、ジョンのソロレコードが出たとき、すぐにはレコードを買おうとはしなかった。どうしても4人がバラバラになってしまうのが悲しくて、買う気にはならなかった。いや、もちろんお金がなかったのもある。 ジョンのレコードは、T君というジョン好きの同級生に聴かせてもらった。それからシングル盤で「マザー」を買ったのかもしれない。LPを買ったのは、いつだったんだろうなあ? もっとずっとあと、働いてからかもしれない。 35年前、ジョンが死んだことでビートルズは終わってしまった。もう4人がそろうことはなくなってしまった。FENから流れてくるジョンの歌声を聴きながら、夜が更けていった。 ビートルズもジョン・レノンの人気は今も衰えることがない。先日、リリースされたビートルズのDVDも「商売がうまいなあ」とぼやきながら、当然ながらポチリと買ってしまった。 画面に現れるビートルズは美しい。昔、映画評論家の淀川長治が「ビートルズは美しい。あの4人が並んで立った姿、きれいね。美しい!」と絶賛していたが、そのとおりだと思う。とくにハンサムでも、スタイルがいいわけでもない4人の若者が並んだだけなのに、輝いて見える。それは何十年も経った今も変わらない。たぶん、ノスタルジーだけではないと思う。 ジョン・レノンが生きていたら、世界が平和になっていたとは思わない。それでも、ジョンといっしょに平和のために声を上げる人は世界中にあふれていたと思う。大きなムーブメントになっていたかもしれない。だからこそ、ジョンは殺されたのか? ジョンがいなくなって35年、また戦争をやりたがる連中が大きな顔をし始めた。「平和のために爆弾を落とす」っていうのは、その昔、岡林信康が「アメリカちゃん」という歌でいっていたことだけど、いまも変わらない。 https://www.youtube.com/watch?v=CbKsgaXQy2k ▲
by kyotakyotak
| 2015-12-01 22:35
| 近況報告
2015年 11月 03日
10月30日、下北沢のラ・カーニャでの今井忍さんのライブに行ってきた。ここのところ、レコーディングやエッセイ本の発売で緊張しっぱなしでフラフラ。あいかわらずプレッシャーに弱くて情けない、ぼくです。ライブに足を運ぶのも無理かなあ、と思うほど疲れていたけれど、やっぱり行って良かった!
今井忍さんの心地よい歌とギターが疲れた体と心に染みこんで、スーッと重しがとれたように体が楽になった。若い人のノリノリのライブもいいけれど、じっくり歌を聴かせる大人のライブはいいですね。お客さんは、忍さんの友達や昔からのファンが多いようで、年齢層が高かったけれど、もっと若い人に聴いてもらいたい。とくに弾き語りをやる人には、技術的にも学ぶことが多いと思う。 ラ・カーニャの小さな舞台に忍さんはおなじみのテイラーのギターを抱えて、じっくりと歌った。ロケットマツさんがピアノとアコーディオンを弾いた。 さすがベテラン、気負いなどまったくなく、自然体。どうして、ステージでこんなにふつうにしていられるんだろう? 気心の知れたお客さんに冗談をとばしながら、ゆったりと歌う。2007年にリリースしたソロアルバム『夜のつばさ』からのナンバーだ。 「愛しのロージー」や「君を想っている」「夜のつばさ」、みんないい曲だ。大好きな「Whistling for a day」が聴けなかったのは残念。 忍さんの曲は、だいたいがミディアムテンポで曲調も似ている。でも、聴いていてちっともあきることがない。 ピアノとのデュオだから、音色にバラエティはないし、激しく弾くわけでもない。それは、忍さんの魅力のある声のせいかもしれない。忍さんは、ちょっとくぐもった低い声でやわらかく歌う。そして、ていねいに歌う。歌を大事にしているのだろう、きちんと歌う。 ギターもそうだ。けっして派手な弾き方はしないけれど、きちんとていねいに弾く。アルペジオでもストロークでも、最後の音までちゃんと鳴らしている。当たり前のことのようだけど、これが、ぼくには出来ない。ぼくだって心がけているけれど、とくにライブだとなかなかむずかしい。 とくに歌いながら、ギターを弾くのはむずかしい。弾きながら、ああ、乱暴になっちゃった、とか、ちゃんと弾けてない、と思いながらステージで「ごめんなさい」を頭の中でいっている。 最近、レコーディングをして、当たり前のことを当たり前の弾くことのむずかしさを痛感した。どんなときにも、確実に弾けるというのは、たいへんなことだ。 ぼくが初めて忍さんを聴いたのは、中学生のときだ。 どこかの公会堂だったかな。はっぴいえんども出演していたのかもしれない。忍さんは、アーリータイムズ・ストリングス・バンドのメンバーとして1970年代から活躍しているから、もう40年以上もプレーしているわけだ。 それから30数年後、忍さんと同じステージに立てるなんて思ってもいなかった。ぼくが今のようなライブを始めたころ、友人の末森英機さんが企画したライブに出演させてもらった。2007年、下北沢の「ぐ」。出演者は今井忍さん、村上律さん、末森樹さん、それにぼくだった。 小さなライブスポットはお客さんがいっぱいで、慣れていないぼくは、かなりあがっていたと思う。ステージに出て、歌い始めると、客席のうしろのほうでOKサインを出して、はげましてくれる人がいた。それが、忍さんだった。会ったばかりなのに、本当にうれしかった。 忍さん、律さんのステージは圧巻だった。うわっつらではない、じわじわ迫ってくるすごみ。長い間、歌い演奏してきた歴史だった。でもそれが重みではなくて、軽快に伝わってくる。 律さんと忍さんの「ライオンは寝ている」は楽しかったなあ。 それから忍さんとは、何回かごいっしょさせていただいた。今年も4月に渋谷のクロスロードでツーマンをやらせてもらった。忍さんの前で歌うのは、うれしいけれど、やっぱり緊張する。忍さんは、いつもにっこり笑ってくれるけれど。 YouTubeにあった忍さんの演奏です。 https://www.youtube.com/watch?v=r0lnt4g7ZhI ▲
by kyotakyotak
| 2015-11-03 14:32
| 近況報告
2015年 10月 28日
明日、夜21時から不忍ブックストリームに出演します。
「不忍ブックストリートから生まれた本」ということで、エッセイ集『ときには積ん読の日々』を紹介してくれます。 南陀楼綾繁さんにどんなふうにつっこまれるんだろう? 挿絵のあまのさくやさんもいっしょですよ。あ、1曲、演奏する予定です。 http://www.ustream.tv/channel/shinobazubookstream ▲
by kyotakyotak
| 2015-10-28 13:59
| 近況報告
2015年 10月 28日
![]() 見かけたら、手にとってみてください。 トマソン社(http://tomasonsha.com/) こちらの書店、喫茶店、古書店に置いてあります。 ★直販 [東京] 古書ほうろう 古書信天翁 ポポタム 古書ビビビ 古書西荻モンガ堂 本屋B&B 古書往来座 BIBLIOPHILIC & bookunion 新宿 タコシェ 丸三文庫 にわとり文庫 盛林堂書房(サイン本) [神奈川] たけうま書房 [京都] レティシア書房 誠光社(★11月オープン予定) [岐阜] 徒然舎 [山口] ロバの本屋 ★取次経由 [宮城] あゆみブックス仙台青葉通り店 [新潟] 本の店 英進堂 [茨城] 蔦屋書店ひたちなか店 [東京] 東京堂書店 信山社 ブックファースト渋谷文化村通り店 オリオン書房立川ルミネ店 ジュンク堂書店吉祥寺店 あゆみブックス荻窪店 ブックファースト銀座コア店 ブックファーストアトレ吉祥寺店 山陽堂書店 紀伊國屋書店新宿南店 [神奈川] 有隣堂本店 ジュンク堂書店藤沢店 ブックファースト青葉台店 [静岡] 谷島屋浜松本店 [名古屋] ちくさ正文館 豊橋市精文館書店 ジュンク堂書店 ロフト名古屋店 [京都] ふたば書店京都マルイ店 恵文社一乗寺店 ジュンク堂書店京都店 [大阪] ジュンク堂書店大阪本店 ジュンク堂書店天満橋店 MARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店 [兵庫] ジュンク堂書店三宮駅前店 [富山] 紀伊國屋書店富山店 [福岡] リブロ福岡天神店 ジュンク堂書店福岡店 [広島] 丸善広島店 ジュンク堂書店広島駅前店 [熊本] 長崎書店 長崎次郎書店 [沖縄] ジュンク堂書店 那覇店 ▲
by kyotakyotak
| 2015-10-28 13:36
| 近況報告
2015年 09月 30日
荷物を整理していたら、2001年の「ミュージック・マガジン 4月号」が出てきた。特集は「スウィングでビーティン・ザ・ヒート」。ダン・ヒックスが来日したときらしく、インタビューやディスコグラフィを中心にアコースティック・スウィングのことが書いてあった。
最近、またスウィングに興味がわいてきたから、なかなかいい資料になる。 バーニー・ケッセルのことを書いたとき、ぼくにギターを教えてくれたジャズ・ギタリスト、伊勢昌之さんはスウィング・ジャズギターの名手だったと書いた。でも、そのころ、ぼくはスウィング・ジャズの魅力はそれほどわかっていなかった。 高校生だったからね、クラスメイトたちは、レッド・ツェッペリン、ディープ・パープルのコピーをしていたしなあ。ぼくは、ぼくでラリー・コリエルとか、ジョン・マクラフリンを聴いていた。 バーニー・ケッセルのギターは美しいコードとか、ぐいぐいのらせるスウィング感は好きだったんだけれど、ちょっと古くさいな、なんて思っていた。 当時はまだ「フュージョン」なんて言葉はなかったと思う。まだ「ジャズ・ロック」っていわれていたのかも。そのうちに「クロスオーバー」とよばれるようになって、リー・リトナーとかラリー・カールトンが登場した。いまでは、フュージョンもクロスオーバーも死語だよね。そうそう、まだ多分二十歳前の渡辺香津美の店頭ライブを渋谷のヤマハに聴きにいったっけ。そのころはギブソンのバードランドを使って、ジャズをやっていた。 スウィング・ジャズのスタイルは肩身がせまくなっていた。伊勢さんのスタイルは、いわゆるフュージョン・サウンドとは合わなかった。前衛的なノイズはやっていたけれど。伊勢さんもつらかったんじゃないか、と思う。じっさい、仲間のミュージシャンからも、「古くさい。もっと流行ものをやらなくちゃ」といわれたらしい。いまだったら、伊勢さんのブラジル音楽やスウィングももとにした音楽は、もっとたくさんの人に聴いてもらえると思うのだが、残念だなあ。 そういえばボストンに行ったとき、ブレッカー・ブラザースとケニー・バレルの共演を聴いたことがあった。たしかラリー・コリエルが出演できなくなって、ケニー・バレルが代わりに出演したんだっけ。すごいね、トラ(音楽業界用語でエキストラのこと。代役)でケニー・バレルが来るなんて。 昔ながらのブルースを基調にしたジャズを演奏するケニー・バレルとフュージョンというか、もっとも新しいジャズをやっていたブレッカーたちの共演ということで、すごく楽しみにしていたのだが、結果は、うーん、やっぱりミスマッチだったかなという感想。 ケニー・バレルは、ブレッカーたちのリズムと合わずにやりにくそうだったし、ブレッカーたちも大御所ケニー・バレルにすごく気をつかっているようで、ときどきケニーの表情をうかがうようにのぞきこんでいた。ケニーさん、不機嫌そうだった。やっぱり音楽は楽しそうにしてなくちゃね。 もともとジャズは好きだったから、18歳、いや17歳だったかな、ジャズ風バンドを組んだことがあった。トム・ウェイツがあこがれだったころ。ピアノに同級生だった中島薫さん(http://www.din.or.jp/~naka09/)。いまもジャズピアニストとして活躍している。ウッドベースに立花泰彦さん(http://park18.wakwak.com/~toying/)。立花さんは、渋谷毅さんや板橋文夫さんと共演しています。そしてぼくがギターと歌。みんな、若かった。 ベースだけの伴奏で「バイバイ・ブラックバード」を歌ったり、ずいぶん背伸びしていたと思うけれど、けっこう楽しい音になっていたんじゃないかな。カセットがあったはずなんだけど、紛失してしまった。また、やりたいなあ。 いまのお気に入りは、マット・ムニステリ(Matt Munisteri http://mattmunisteri.com/)。日本ではあまり知られていないけれど、1920年代ぐらいの古いジャズを研究していて、ギターもとてもうまい。 いまは活動していないみたいだけれど、ブロック・マムフォードというバンドで『LOVE STORY』『It's Been Swell』という2枚のアルバムを作っている。ギター、アコーディオン、トランペット、ベース、ドラムという編成。『LOVE STORY』では、古いジャズだけでなく、ディランの「Don't Think Twice,It's All Right」や、バン・ダイク・パークスの「Orange Crate Art」を歌っている。それが洒落ているんだ。 もう日本盤は廃盤になっているのが残念。 ソロ作「STILL RUNNIN' ROUND IN THE WILDERNESS」やダウンロードだけらしいけれど、ホット・クラブ・オブ・カウタウンのウィット・スミスと「Hell Among the Hedgehogs 」というアルバムを出している。 ![]() (https://www.youtube.com/watch?v=7UR0DuHa5Sg) ▲
by kyotakyotak
| 2015-09-30 17:40
| 近況報告
2015年 09月 13日
9月9日の喫茶SMiLEでのライブ、台風でときおり激しい雨が降る中、それでもたくさんのお客さんで店はいっぱいでした。共演はFUJITA & FUKAO、オオルリの二組。
ぼくは、谷口雄さんといっしょです。 いっぱいのお客さんは、ほとんどがオオルリさんを聴きにきた人たちで、最後にやったぼくたちは、ちょっとしたアウェイ感に戸惑いましたが、でも、演奏を始めるとみなさん熱心に聴いてくれて、嬉しかったです。 谷口さんとのデュオは、3回目なのかな。今回のリハも1回だけだけれど、かんたんな打ち合わせだけで、あとはほとんどアドリブ。緊張するけれど、やってみると楽しいですね。 ![]() セットリスト ホーボーだって深海魚の夢をみる 犬の瞳が月より冴えて ぼくが生きるに必要なもの one day ~ 或ル日ノツヅキ i e j i 十一月の寓話 ほしどろぼう ごはんの湯気で泣くかもしれない かもつせん ▲
by kyotakyotak
| 2015-09-13 13:27
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